涙の欠片


その言葉が頭の中で駆け巡る。

そう思ったのも束の間でリュウは徹の横に腰を下ろし胡坐を掻く。

とくに何も言わず、さっき中で買ってきた缶コーヒーの蓋をあけ口に含む。



「リュウ、俺のも買って来いよ。後、恵梨菜ちゃんの分も」


翔平が口にしたあたしの名前にリュウは眉を寄せ“誰?”と言う感じで翔平に目を向ける。


「恵梨菜ちゃん」


そう言って翔平は、あたしに軽く指差し二コッと笑った。


「あぁ」


リュウは素っ気なく返し、少し身体を右に浮かしポケットから小銭を取り出した。

それを翔平に差し出し「サンキュー」と言って翔平はコンビニの中へ足を進めて行く。