「だから優しくするって」
そう言って、もう一度キスを落としてくる達也に思わず声を上げた。
「ちょっと待ってよ。そう言う問題じゃない…。怖いんだ…、本当に怖いんだよ。お腹に傷だってあるし…」
「俺は何とも思わねぇよ」
吐息がかかる距離で達也はあたしを見つめ、その達也の視線からあたしは逸らした。
「…まだ……、ごめん」
小さく呟くあたしに達也は軽く息を吐き、あたしの側から離れる。
あたしはゆっくり上半身を起こし髪を整える。
この沈黙は嫌い。
長い沈黙の後、達也は「ごめん…」と呟いた。
ずっと俯くあたしに達也は話を続ける。
「前も言ったみたいに恵梨菜が俺から離れていきそうで先走ってた。…悪かった」
そう“ごめん”の言葉を何回も繰り返す達也にあたしは首を横に振った。
その日から達也はあたしの気持ちを分かってか、もう何も言ってこなかった。
放課後になれば達也と一緒に帰る。カラオケに行く事もあればゲーセンで遊ぶ毎日が続いた。
本当に本当に爽やかな日々が訪れていた。
そんな中、達也に対する気持ちももっと大きく膨らみかけていた。
でも…
あたしは達也を苦しめる事しか出来なかった。



