涙の欠片


「…えっ、」


誰も居ない放課後の教室にあたしの小さな声が微かに響く。

でもあたしは動揺する事も戸惑う事もまったくなくて、本当に普通にただ目の前にいる達也を見つめるだけだった。

壁に背をつけたあたしの顔の横に達也の手が伸びてきて、達也は壁に手をつける。


「俺、ずっと前から好きだった。だから…俺と付き合って」


そう言って達也はあたしの唇に自分の唇を重ね合わし、そっと離した後あたしを見つめる。


その瞳から逸らす事なくあたしは小さく呟いた。


「いいよ」


そう言うと達也はまたあたしの唇を奪ってきた。


分かんなかった…

“いいよ”って言った自分が分かんなかった。

達也の事は嫌いじゃない。じゃあ好きなの?って聞かれると…

それも答えられない。


でも頭の中を誰かで埋めたかった。

達也と居るとリュウの事はまったく思い出さなかった。だからかも知れない…


こんな自分、サイテーかも知れないけど…

でも、あたしは達也を好きになろうと思う。