涙の欠片


転がっていくお金を目で追っていると「ごめん、ごめん」と明るい男の声が返ってきた。

不機嫌そうにあたしが見上げると、男はしゃがみ込んで落ちたお金を拾う。


「はい」


差し出されたお金を受け取り、もう一度男を見上げるとその男は軽く微笑んで一緒にいた男達と笑いながら姿を消した。


あたしは深くため息をつき自販機にお金を入れてボタンを押す。

あたしのオレンジと美沙のアイスティー。

それを持って美沙がいる席まで行って向かい合わせで腰を下ろした。


「さっき何してたの?」

「あー、ぶつかってきた」


そう言って手に持っているアイスティーを美沙の前に置く。


「ふーん…、ってかさ恵梨菜っていつもパンじゃん」

「うん。もうこれが当たり前って感じになってるから」

「パンってお腹空かない?」


そう言って美沙は湯気がでているオムライスをスプーンでつっつく。


「んー…、もう慣れてるしさ。それよか美沙は直人と仲いいよね?」


あたしはオレンジジュースの蓋を開けて口に含む。