涙の欠片


ずっと俯くあたしに「おい、恵梨菜!!」とリュウの張り上げた声が飛ぶ。


「前の事が原因か?まだ怒ってんのか?」


違う…
怒ってない。

もう何も怒ってない…


首を振るあたしに「じゃあ何でだよ。俺と居るのがそんなに嫌かよ」とリュウはため息混じりに吐き捨てる。


嫌じゃない。
嫌になれるわけがないし、嫌いになれるわけもない。


静まり返った空間の中、リュウは深いため息をつきテーブルの上に置いてあるタバコを口に咥える。

カチッとライターの音が微かに響き「理由は?」とリュウは眉を寄せたまま口を開く。


「…疲れた」


ポツリと呟いた言葉にリュウはタバコを咥えたままあたしを見て、一瞬目を見開きすぐに逸らした。

俯いたままタバコの煙を吐き出すリュウの姿をジッと見て、あたしは言葉を続けた。


「リュウと居ると疲れた。もう一緒に居れなくなった。ただそれだけ…」


冷たく吐き捨てた言葉にリュウは深く息を吐く。

嘘をつけば口は素直に動いていった…

1度、嘘をつけばそれを突き通してしまう。

そんな自分がとてつもなく嫌になった瞬間だった。