涙の欠片


階段を登りきると百度石が立っていた。

素足の裏からコンクリートの冷たい冷たい今にも足の裏が切れそうな痛みが走りだす。

辺りを見渡すと、だんだん日が昇り初めかけている。

“人に見られてはいけない”って言葉を昔、聞いた事があった。

ホントかどうかは知らないけれど、とりあえず早く始めよう…


鞄を地面に置き、巾着袋を取り出し中から小銭を取り出して一息吐く。

社寺の入口から本堂まで行って参拝し、また社寺の入口まで戻る。

願いを心に潜めて何度も何度も繰り返し、巾着袋の小銭はだんだん少なくなっていく。


…―――あと67回。


コンクリートから沸き上がってくる冷たさに思わず顔を顰める。

…痛い…。

足の裏、切れてるかも知んない…。


でもリュウはもっと痛くて苦しくて辛いんだ。

唇を噛みしめ、あたしは本堂まで歩いて参拝し、また社寺の入口まで戻る。



…―――あと35回。


もう手の感覚なんて冷えきって何も分からない。

冷たい風が頬を突き刺し、何度も吐く息は白くって、もう外は明るくなっている。