涙の欠片


「えっ、ちょっと何すんの?何処行くの?」

「悪いな」


そう言って翔平は運転席に座りエンジンを掛けて勢い良く車を発進させる。


「ねぇ!!急に何?あたしスリッパなんだけど!!コートも着てないし寒いんだけど!!」


次々に言葉を出すあたしに答える事もなく翔平は車を走らせて行く。

何がどうなってんのか分かんないこの状況にあたしの頭の中は混乱し始める。


「ねぇってば!!」


翔平に目を向けて言葉を投げ掛けても翔平は何ひとつ口を開こうともしない。

その翔平にだんだん嫌気がさし、あたしは何も言わずに窓の外に視線を移した。


夜の所為でもあるしフルスモークの所為でもあるが、窓から見る外は真っ暗で外の様子なんて全然分からなかった。


暫く走った後、車が停車すると「下りて」と言って翔平はエンジンを切って車から下りる。


ため息をつきながら車から下りるとあたしの目は一瞬にして停止した。

目の前に見えるのはドデカイ建物。

あたしがたまに来る所。






…―――総合病院。