その文字に一瞬、手が止まった。
何で翔平から掛かってくんの?
少しの間、画面を見つめしつこく鳴り続ける電話にあたしは通話ボタンを押し耳に当てた。
「恵梨菜ちゃん!!」
勢いよく張り上げた翔平の声に思わず肩が上がり耳から少し電話を離す。
「恵梨菜ちゃん、聞いてる?」
「うん…」
「ちょっと今、恵梨菜ちゃんちの前にいるから早く出て来て」
「何で?」
「いいから早くして」
焦ったような慌てたような声で、翔平は電話を切る。
とりあえず理由ぐらいは言ってほしい。
何で焦ってんのかも分からない。
仕方なくあたしは玄関まで行き散らばっているスリッパを履きドアを開けた。
開けた途端、冷たい冷たい風が頬を突き刺しヒリヒリとする。
目を前に向けると黒いセダンの前で翔平はソワソワしながら立っていた。
あたしに気付いた翔平はいきなりあたしの前まで駆け付けてきて、あたしの腕を力一杯に引っ張った。
「えっ…、ちょっ、」
そのままあたしは翔平の開けた助手席に背中を押され、車の中に押し込まれる。



