あたしの両肩に手を置いていたリュウは、スッと肩から離し舌打ちをする。
そして、あたしに背を向けてダルそうに歩き雪乃と言う女の前で足を止めた。
「帰れ」
低い声でリュウが吐き捨てた途端、女は平然な顔をして深いため息をつく。
「何であたしが?後から来たのそっちの女じゃん」
そう言った雪乃はあたしを睨み付けてきた。
なんであたしが睨まれてんのか分かんない。
あたしのほうが苛立ってんのに…
「帰れっつってんだろ!!」
もう一度リュウが低い声を出すと女はフンっとそっぽを向き、リュウに背を向けてカツカツとヒールの音を響かせながら姿を消していく。
その光景を見て、あたしもリュウに背を向けて足を進ませると「恵梨菜!!」とリュウの張り上げた声が飛んできた。
それでも足を進めるあたしに「待てよ」とリュウはあたしの腕を掴む。
「マジでアイツとは何もねぇ。恵梨菜んちに行こうとしてここに来たらアイツが現れた」
「信じらんない…」
「信じろよ」
「信じられるわけないじゃん!!あたしリュウのセフレなんでしょ?リュウ一体何人いるの?」
「何でそうなんだよ。アイツとは何もねぇし一人もいねぇよ」
「もう離してよ!!」
めい一杯、声を張り上げ掴まれていたリュウの腕をおもいっきり振り払い、あたしは鞄をギュッと抱えこんで走った。
息が荒れて呼吸がもたないくらいひたすら走った。



