「ねぇ、聞いてんじゃん。答えないって事はそうなんじゃん。前にもあったよね?あの時も女だったじゃん!!セフレとか言ってさ、あたしの知らない所でリュウ、ヤってんじゃないの?」


一度吐き出せば止まらなかった。

そう吐き捨てた瞬間、リュウはタバコを咥えたまま眉間にシワを寄せてあたしを見てきた。


「お前――…、」

「だって、そおじゃん。あたしとヤんない分、他でヤってんじゃないの?」

「あ?お前の身体を思ってヤんねぇだけだろ」

「でも、おかしいよ。最近ずっと鳴ってんじゃん…、そんなに鳴ってたら気になるでしょ…普通」


だんだんリュウの顔つきが変わっていくのが分かる。

別にリュウを怒らせたいんじゃない。別にリュウとヤりたいわけじゃない。

気になる…。気になるからあたしの口は止まらなかった。


「一度も出てねぇよ。信じてねぇのか…俺の事」

「信じるも何も――…」


張り上げて言ったあたしの膝の上に言葉を遮るようにリュウの携帯が飛んできた。

リュウは灰皿にタバコを打ち付けながら「見ろよ」と顎で携帯を指す。

あたしはリュウから視線を逸らし膝の上にあるリュウの黒い携帯を握り締めた。