涙の欠片


目を覚ました時、ぼんやりと見えたのは点滴を取り替える看護師さんの姿で、まだあたしの口には酸素マスクが取り付けてあった。


「綾瀬さん、目覚めました?今、朝の7時ですよ。彼氏さん廊下に居るから呼んで来るね」


目がくりっとした綺麗な看護師さんはあたしに向かって微笑み、点滴を取り替えると部屋を出て行き、その後すぐにリュウは入ってきた。

何も言わずにパイプ椅子に腰を下ろし、沈んだ顔であたしをジッと見つめる。

その視線からあたしは逸らした。


あたし…、リュウに嫌われたかな…。

この今の状況がどうなってんのかぐらいあたしには分かる。






…―きっと赤ちゃんはいない―…





「ごめ…」


酸素マスクをしている所為で、あたしの声は曇ってて…

また新しい何かが頬を伝って流れ落ちた。