涙の欠片


「…ますか?聞こえますか?」


何度も言われる言葉と両腕に針を刺される小さな痛み。

ぼんやりと見える先は腕から通っている点滴。


もう…、何がどうなってんのかあたしには何も分からなかった。

どれぐらいの時間が経ってんのかも分かんない。

この痛さも何なのか分かんない。

分からない事だらけで、あたしの頬に何度も涙が走る。


そして暫く経って、ぼんやりとする視界の中、女の先生が来て言われた事にあたしは耳を疑った。




「陽性反応がでました」

「…――え?」

「分かる?陽性反応ね」



陽性?

陽性って何?

陽性?陰性?



一瞬、頭の中が真っ白になった。



えっ、陽性って…。
あたし妊娠してんの?


ぼやけた視界の中で慌ただしく動いていく看護師さん達。

今だに理解ができない事とあたしの頭に不安が過る。


じゃあ、この痛みは何?

何でこんなに泣くほど痛いの?

ってか何でそんなに焦ってんの?


分かんない。
分かんない。


駆け巡る言葉に目の前が真っ暗になりそう。