涙の欠片


ガチャっと玄関のドアが閉まる音を耳にして、あたしは椅子に腰を下ろした。

あたしがリビングに顔を出す頃には、もう聖梨香は学校に行っている。母は仕事であたしが出た後に帰ってくる。


〝食べて行けよ″

そんな父の言った事も聞かず、あたしは何も食べず暫く経った後、家を出た。



教室に入るなりクラスの視線があたしに突き刺さる。って言っても一部を中心に混じって見ているだけだ。

もう、こんなのは前の学校で慣れている。


「派手な女来たよ」


ヒソヒソ聞こえてくる声だって、もう慣れている。

そして最近では「転校生のくせに…」と言う声も混じってくる。