リュウは軽く舌打ちをしズリ落ちそうになったあたしの身体をギュッと抱えあげる。
「俺の首に両腕回せ」
「え?」
「回せって、鍵が出せねぇ」
「いいよ。あたし降りるから降ろして」
「早くしろ」
リュウの面倒くさそうな声を聞き、あたしはリュウの首に両腕を回しギュッと自分の腕を互いに握り締める。
あたしの足を抱えていたリュウの右腕が離れるとリュウの左腕に力が入り、あたしをグッと抱え込む。
ポケットから出した鍵で車を開け、助手席のドアを開けその中にあたしを座らせる。
リュウは何も言わずに運転席に乗り込み車を発進させた。
無言のままリュウのマンションに着くとリュウはもう一度あたしを抱き抱え、部屋に向かう。
途中、「ごめ…」と呟くあたしにリュウは何も言わなかった。
「風呂入れ」
中に入って脱衣所で降ろされたあたしはリュウに軽く頷く。
この光景は前にもあった。
初めてリュウの部屋に来た時、リュウは今みたいに何も言わず“風呂入れ”って一言だけ言った。
パタン…
と閉まる音がして一人になったあたしの目から、また涙が落ちた。



