口元を押さえながら目線を前に向けると徹はリュウの腕を掴んでいた。
「あ?てめぇーは引っ込んでろ」
「リュウ。お前、こいつら殺す気かよ」
そう言った徹から下に目線を移すと全然動かない、血を出した男が倒れてて、それを見たあたしは余計に吐きそうになった。
気持ち悪い…
頭、痛い…
クラクラする…
吐きそう…
頭の中で次々と出てくる言葉が駆け巡る。
ボーっとする視界の中に飛び込んできたのは、あたしの前にしゃがみ込んだリュウの顔だった。
目が合った瞬間、今まで何も出なかった一粒の涙があたしの頬を伝ってながれ落ちる。
震えていた身体が、リュウの怒の通った表情を見て一気にあたしの身体は硬直した。
「恵梨菜。…出るなっつっただろ」
リュウから目線を逸らして俯くあたしに「何で俺に言わなかった」とリュウの低い荒れた声が頭上から落ちてくる。
「麗が見つけてなかったら―――…」
「リュウ!!もういいじゃん。こんな時にそんな事、言ってる場合じゃないじゃん」
麗さんはあたしの身体を離しリュウに向かって声を張り上げる。
そんなリュウは深く息を吐き、あたしを力付くで立たせた。



