麗さんが呟いた声に身体がゾクッとした。
俯いていた顔を恐る恐る上げると、あたしを冷たい目で見るリュウが息を切らして立っていた。
目が合った瞬間、リュウは短く舌打ちをし、あたしに向かってパーカーを投げてきた。
「お前は手出すな」
リュウは徹にそう言って、そのままズカズカと歩き倒れている男の胸ぐらを掴み激しく殴りかかる。
「てめぇー覚えとけよ、コラァ!!」
何度も蹴って殴るリュウの姿と、この中の薬物の異様な臭いで、さっきまでの出来事が込み上げてきて吐き気が襲い口に手を当てる。
目の前に落ちているパーカーに手が届かない。
そんなあたしを見た麗さんはすぐにパーカーを拾いあたしの身体に掛ける。
「腕…通せる?」
そう聞かれても全然、手が動かなくて震えるばっかで…
麗さんは軽くあたしの頭を撫で、あたしの腕を掴んで袖に通す。
あたしの荒れた息が自棄に耳に入り込んで、それと同時にリュウの荒れた怒り声が飛んでくる。
暫く経って「おいっ!!」と張り上げた声を出したのは徹だった。



