「えっ、何?」
混乱して言うあたしに男はまた微笑む。
微笑むって言うか不愉快な笑みを漏らしてあたしの肩に置いていた手を滑らし、腕を掴む。
「痛っ…」
ギュッと握られた力強さに思わず悲痛の声が漏れる。
そのまま引っ張って歩いて行く男にあたしの足も必然的に前へ進む。
「ちょっと離してって!」
男の腕を離そうとした瞬間、さっきよりも男はあたしの腕に力を入れる。
その拍子に反対側に持っていたペットボトルが下に落下し、閉める蓋が緩かった為、蓋は取れみるみるうちにボトルからトクトク水が流れ出る。
「離してよ!!」
大声を上げ、男の手を掴んで離そうとした瞬間、男は不愉快な笑みを漏らした後、後ろにあるフェンスにあたしを押しつけ目付きを変える。
怖い…。
だんだん近づいてくる男の顔。
フェンスに押しあてられた背中がジンジンと痛み、押さえつけられている腕さえ痛い。
「大声出すんじゃねぇよ」
低く冷たい声はリュウとは全然、違う怖さ。
視界に入るのは男の全身しか入らなくて、あたしの身体は一気に寒気が走ってくる。



