涙の欠片


真っ暗になり父が眠り母が仕事に行き、この静まり返った空間がほんの少しだけ落ち着く。

新しいタオルを持って部屋に行き、そのままベッドに倒れこんだ。

目を閉じる恐怖が何分も続く中、枕に顔を埋める。

人間、眠らないように成り立っていればいい…

そんな事を思っている内にあたしはいつの間にか目を閉じていた。




朝、目を覚まし夢を見ていなかった事に一安心する。何で寝るだけなのに脅えなければいけないのか…

額に手を当てて首元まで下ろし、気持ちが悪い汗が出ていない事にホッとし、あたしは洗面所で顔を洗った。

部屋に戻りガラステーブルの前に腰を下ろし鏡と向き合って自分の顔を変えるようにファンデーションを頬に滑らす。

化粧をしたからって何も自分の顔が変わるわけじゃないけど、化粧をする事で少しだけ安心感を抱く。