涙の欠片


一瞬、リュウに電話しようと思った。

だけどいくら遅くてもリュウに電話してたのは22時までだった。

これ以降は迷惑だと思い掛けなかった。

たった水の為に呼ぶなんて馬鹿みたいだ。

あたしはクローゼットの中から適当に服を取り出し、それに着替えた。

コンビニはすぐそこだし…

すぐ帰ってくればいいし…

そう思ってたのは間違いだった。




家を出て、住宅街を抜けると相変わらず爆音を響かせた車が走り去る。

リュウと付き合うまでは、いつも毎日のように出歩いていた。

付き合ってからはまったく行かなくなって…

だから何だか分からないリュウの言葉で疲れきってた頭が夜、出る事によって少しスッキリした気分になった。


コンビニまでたどり着いて中に入り、いつも買うミネラルウォーターを買った。

外に出てすぐペットボトルの蓋を開け、冷たい水を喉に流し込む。

ハァ…と息を吐き出し蓋を閉めようとした時、ポンポンと肩を叩かれあたしは目線を後ろに向けた。


「ちょっといい?」


そう言って一人の知らない男があたしに向かって微笑む。