「どこ行く気だ?」
とてつもなく低い声に一瞬、身体が震え「…帰る」とあたしは小さく呟く。
「あ?」
「帰る」
「さっき夜出歩くなっつっただろうが」
「だから、それが――…」
そこまで言ったあたしの口は閉じた。
眉間にシワを寄せて見下ろすリュウの顔に思わずあたしの口は静かに閉じた。
そのまま目線を下げ、あたしの足はベッドへと向かう。
リュウは何度目かのため息をつき、風呂場へと入って行く。
浴室から微かに聞こえてくるシャワーの音に耳を向けながら、あたしは布団に潜り込んだ。
頭のてっぺんまで布団を被り、目を閉じる。
分かんない…
分かんない…
ただ、あたしの頭の中に流れ込んでくるのはその言葉だけで、何がどうなってんのか分からない。
昨日まで凄く普通だったのに…。
理由言ってくんなきゃ分かんないじゃん。
昨日まで安らいでいた気持ちでさえ、ぶっ飛びそうだ。
暫く経って疲れきった身体と深い眠りに入ろうとした瞬間、リュウはベッドに入り込みあたしの身体をギュッと抱え込みリュウの小さな声が微かに聞こえた。
「…ごめん」



