涙の欠片


リュウの左腕があたしの首の下から回り、後頭部を抱え右腕であたしの背中を優しく撫でる。

リュウの舌があたしの口の中に入ってきて、リュウの手が胸に触れた時、あたしの小さな声が漏れた。


「……んっ…、」


そっと唇が離れて目と目が合った瞬間、リュウは優しくあたしの頬に触れた。


「…恵梨菜。…いい?」


リュウの優しい甘い声で囁かれ、あたしはゆっくり頷いた。

優しく頭を撫でられ、額、頬、首筋、そして唇。

リュウのキスが落ちていく。


あたしの身体とリュウの身体が隙間なく重なり合って、リュウの体温だけでもう一杯一杯だった。


「恵梨菜…」


優しく囁かれる声も…

リュウが隣に居るだけで、リュウと言う存在が居るだけで、薬なんて必要なかった。

ちゃんと夜寝れるし、飲まなくていいし、快楽に落ちているタバコでさえいらなかった。

前までの記憶がまるで嘘のように感じてた。


「恵梨菜…。力抜けって」

「…うん」

「もっと抜けって」


リュウの声を聞くだけで…

リュウの身体に触れるだけで…

リュウの体温に触れるだけで…


それだけで満足だった。