涙の欠片


握られた拳の隙間から銀色に光った物が微かに見え、あたしはゆっくりと指を開いていく。

その手の平に出てきた銀色の物に思わずあたしは目を見開いた。


「えっ、これ…」

「お前のやつ」

「いいの?」

「あぁ」


リュウからもう一度、目線を手の平に戻し思わずあたしの顔に笑みが漏れた。


銀色に光る一つの鍵。

この部屋の鍵。


「…ありがと」

「来たい時に来い。でもちゃんと家にも帰れ」

「うん」


ギュッと鍵をもう一度握り締め、そのままリュウの胸に顔を埋めた。

温かいリュウの体温に触れ、リュウの背中に腕を回した。

やっぱしあたしはリュウのこの温もりが好き。


リュウはあたしの頭をゆっくり撫で「無くすなよ」と耳元で囁く。


「うん」


コクンと頷きリュウから身体を離して、もう一度手の平の鍵を見つめる。

嬉しかった。

リュウと同じ鍵を持つ事に嬉しかった。


あたしはリュウから貰った大切な鍵を鞄の中にしまい込んだ。