涙の欠片


男達の方へ目を向けると話しかけてきた男は隣に居る金髪の男に指差した。

ホントに殴ったのか殴ってないかは分からないけど、その男は笑いながらタバコの火を地面に押し潰した。


「おい。リュウも謝れよ」


また低い声でその男は金髪の男を横目で見る。


…リュウ。

その名前に一瞬ゾクッとした。何故だか分からないけれど、その風貌の所為か名前と一致している。

冷たい目。
吐き捨てる言葉。

全てに怖いと思った。


そのリュウと言う男に目を向けるとバッチリ目が合い、あたしは反射的に目を逸らした。

だけど逸らす瞬間コクンと首を傾げたのが見えた。