涙の欠片


つっ立ってるあたしに「恵梨菜」と リュウの声が聞こえ、あたしは慌てて玄関に行き靴に履き替えた。


車に乗り込んで発進させてから一言も口を開かないあたしに「どうした…」とリュウは低い声で口を開く。


「ううん」

「…んだよ」

「いや、ジャージはさ怖く見えるから出来るだけ出歩く時は着てほしくないと思って…」

「あ?お前、そう言う事は出る時に言え。もう一回戻るぞ」

「えっ、いいよ。いいよ」


もう少ししたらあたしの家だと言うのに、戻ってもらうわけにはいかない。

それに怖いと思ってるのは初めて見た時の印象だし。


「本当にいいのか?もうお前んちに着いたぞ」

「うん」


頷いて窓の外を見ると、あたしの家の前で車は止まった。

あたしが車から下りてドアを閉める寸前に「早くしろよ」とリュウの声が聞こえ、頷いてドアを閉めた。

急いで自分の部屋まで駆け上がりクローゼットの中からデニムのミニスカートとキャミを取出し、それに着替えその上から黒のジャケットを羽織った。


そのまま階段を掛け降りて洗面所に向かい洗顔で顔を洗い、もう一度部屋に戻って化粧をした。

鞄に財布と携帯を突っ込み慌てて階段を掛け降りる。