涙の欠片


「分かったから早く着替えろ」


そう言って脱衣所を出て行ったリュウに嬉しくなった。

あたしはすぐスウェットを脱ぎ捨て制服に着替える。


脱衣所を出るとリュウの姿にあたしは目を見開いた。

真っ黒のジャージを着たリュウ。

ジッパーが胸まで開かれ、そこから小麦色の肌が覗かせる。


「…えっと…、え?何でジャージなの?」


ボソッと呟くあたしにリュウは目を下に向ける。


「あっ…、いつもの癖だ」


そう言ってリュウはフッと笑い「まぁ、いいだろ」とあたしの頭をポンと叩き足を進める。


できれば…

できれば…


黒のジャージは着てほしくないと思った。

リュウがあたしにぶつかってきた日と翔平が初めて話してきた日の2回、リュウは黒のジャージだった。


だから黒のジャージを着ているリュウを見ると凄く怖く見える。


ただ、それだけなんだけど…