涙の欠片


「そっちに行っちゃ駄目かな…?」


小さく呟くあたしに「寝れねぇのか?」とリュウは優しく返す。

「うん…」


そう言ってすぐ、リュウは立ち上がりベッドの中に足を滑り込ませた。

あたしの爪先とリュウの爪先が絡まりリュウの左腕が首の下に入り右腕があたしの背中に回る。

そのリュウの体温で少し眠れそうな気がした。



「…恵梨菜?」


暫くして背中にあったリュウの手が後頭部まで上がりリュウは小さく声を出す。


「うん?」

「今日だけじゃなくて、もっと俺に頼れよ。もっと…」


耳元で囁かれて吐息がかかるたび、あたしの心臓は熱くなっていく。


「そんな事、言われたら本当に頼っちゃうよ?」

「あぁ」

「そんな頼っちゃうとリュウの事、好きになっちゃう」


ギュッと抱きしめられる中、あたしの口から出た擦れた言葉は自棄に耳に染み付いた。


“好きになっちゃう”

じゃなくて、もうあたしはリュウが好きだった。


暫く経っても何も返してこないリュウが少し気になり胸に埋めていた顔を少しずつ上げた。

上げた途端リュウと目が合い慌ててあたしは目を逸らし俯く。


「俺…」


その声にあたしはドキッとした。