涙の欠片


「うん。ちょっと頭痛かっただけ」

「お前、家で待っとけよ」

「ごめん…」


“早く会いたくて”なんて言えるわけもなく、あたしはリュウに腕を掴まれて立たされる。

そのままリュウは何も言わずにあたしの腕を引っ張り駐車場へ向かう。


「とりあえず俺ん家に来い。お前、話あんだろ?」


リュウは車に乗ってすぐに、そう言ってきた。

それで思い出した。

そうだった。


あたしリュウに話があるって言ったんだった。

車内の中は静かでリュウも口を開かなければあたしも口を開く事はなかった。

チラッとリュウの横顔を見ると、その凄く整っている顔を見るだけで、それだけであたしの胸は熱くなった。


「はい。これ…」


マンションに着いてすぐ、あたしは手に持っていた紙袋の中に入っているスウェットを取り出しリュウに渡す。


「あぁ」


どうしていいのか分からないあたしに「座れよ」とリュウは自分が座っている隣に指差す。

コクンと頷きテーブルの前に腰を下ろし、この沈黙を無くそうとあたしは口を開いた。


「リュウ…。な、なんか色々とあたしの為にゴメン。一馬と翔平から聞いた。ホント…色々とゴメ――…」

「そんな事はどうでもいい。それよりお前、寝たか?顔色悪いぞ」


リュウはあたしの言葉を遮りタバコを咥えて火を点ける。

ジッとあたしの顔を覗き込んでくるリュウに何も答えられず黙るあたしに「寝れねぇのか?」と優しく返す。