車を下りる時、翔平は沙織の事を口に出した。
“ちゃんと謝ってきた?”って…
それは翔平が自分の口から謝れって言ったみたいで…
だから沙織が謝ってた時、通り過ぎた一馬はうっすら笑ってたんだと思った。
家に帰ってからも、ずっとリュウの顔が頭の中に浮かんでて、それと同時に頭痛も増してくる。
“飲むな”ってリュウに言われてから一個も頭痛薬は飲んでない。
飲んでも利かないんだけど飲んでないと言う事だけに頭痛が悪化したように思えた。
リュウに言わなくちゃと思いながら携帯を握り締めて何時間が経ったんだろうか。
無愛想なリュウが一番にあたしの事を気遣ってくれたと言うリュウの優しさに思わず涙が込み上げてきそうになった。
涙なんて必要ないと思ってたのに。
涙なんて流しても意味ないと思ってたのに…
流れそうになるまでの感情を引き出したのはリュウと言う存在だった。
携帯の画面に映る21:46の文字からリュウの番号に切り替える。
少し震えた手に力を込め通話ボタンを押した。



