涙の欠片


“助けてなんて言ってない”

“ほっといてよ”

“関係ないじゃん”

“無愛想なリュウに言われたくない”


そう…

リュウに叫んだのに…。


どうしよう…。

あたし、リュウに会えない…。


「ねぇ、翔平から言っといてよ。あたしリュウに悪い事言ったし、会いづらい…。だから“ありがとう”って…」

「えっ、俺が?」


少しビックリした様な声を出し、翔平はミラー越しからあたしに目を向ける。

頷くあたしに「それは無理」と、即効返された。


「えっ、何で?」

「なんつーか…、俺らの中では言い伝えはできねぇから」

「え?」

「言い伝えで言ったら相手の口調とかわかんねぇじゃん。本当に謝ってんのか本当に心から言ってんのか…、そいつの表情だって分かんねぇし。だから恵梨菜ちゃんも自分から言いなよ」


バックミラーに映る翔平の顔は優しく笑っていた。