涙の欠片


「え、何で笑ってんの?」

「いや…昨日もリュウが同じ事言ってきたから。翔平があたしの携帯から掛けるか赤外線じゃダメなの?」


少し疑問に思った事を言うと翔平は眉を寄せて「あー…」と声を漏らし口を開いた。


「赤外線って操作すんのめんどいし俺、自分の番号覚えてねぇんだよね」

「あーそれっぽいね」

「そうそう。だから、はい」


差し出された携帯を受け取って、あたしは自分の携帯に電話を掛け、翔平に携帯を返した。


「あっ、恵梨菜ちゃんさ、空き地知ってるっしょ?昨日リュウと行った所」

「うん」

「じゃあ、放課後そこに来て。送るから」

「うん」



屋上を出た後、教室に入ろうとした時、背後から戸惑うような小さな声で誰かがあたしの名前を呼んだ。


「……綾瀬さん」


その声で教室に入ろうとした足はピタッと止まり、後ろを振り替えると思ってもみない人が立っていた。


「えっ…と…」


昨日アイツら3人の後ろに怯えながら居た一人の女。

名前が分からないあたしは少し戸惑い首を傾げた。


何の用だろう…