涙の欠片


「お前とさ、リュウさん達がよく一緒に居るの見掛けてた。だからリュウさん達に言ったらすぐに止める事は出来てた。でもそれを言わずに放置したのは俺」


一馬の言ってる事がまったく分からなかった。

何を言ってんだろうって思った。


「どー言う意味?まぁさ、あたし慣れてるし助けてなんて一言も言ってないけどそんな事、聞いたら傷付くよ」

「そう…そこが問題」


一馬は上半身を起こして、そのままベンチの上で胡坐を掻く。

開いた隣に指差しあたしに目を向けた。

あたしはそれに従い一馬の隣に腰を下ろし、一馬はポケットからタバコを取り出した。


「お前さ、全然嫌な顔も泣きそうな顔もせず、いつも平然としてすげぇ普通だし、だから使わせてもらった」


一馬は指に挟んでいたタバコを口に咥え火を点ける。

深く吐き出す煙を見ながらあたしは首を傾げた。


「使わせるって何が?」

「“オトシマエ”って分かる?」

「うん」

「そのオトシマエつけさすには机が移動してたり教科書の落書きだけじゃ俺らには無意味なんだよ。だからもっと相手が深く入り込んで来なきゃつけられねぇ。だからお前が嫌な顔しねぇから深く入り込むまで待ってたわけ。分かる?」


“お前を助ける為に必要だった。ごめんな”


一馬はそう付け加えて煙を吐き出し、ベンチにタバコを打ち付けた。