私は交番まで足を止めることなく走り、
一週間ぶりに交番に視線を向けた。
体育ではあんなに走るのが辛かったのに、今は全然辛くない。
私の頭の中は、おまわりさんのことでいっぱいだった。
息を切らせてる私の額は汗で濡れているのに、
指先は冷たく震えるくらい緊張してる。
息をのんで交番のドアを開けた。
交番の中には、お父さんと同じくらいの年代の男の警察官が二人居て、
一人は何かを落としたらしい女性の話を聞いてた。
そしてもう一人が、私に向って声をかけた。
「どうかしました?」
「あ、あの……おまわっ、宮本さんいますか?」
「宮本は今日はいませんけど……何か用事でも?」
私に話しかけてきた警察官は無愛想な声で答え、
不信感を持っているような視線で私を見ていた。
「いえ……」
私はその警察官の視線を浴びながら交番を出た。

