「もう限界だ!!」
図書館の前まで来たときにはおまわりさんの足音がすぐ後ろにあり、
拓也君たちは私と美樹を離して凄い勢いで逃げて行った。
「大丈夫か!?」
今まで見たことのないおまわりさんの真剣な顔。
息を切らせてる私の肩をぎゅっと掴み声をかけるおまわりさんを
私は真っ直ぐに見ることが出来なかった。
だって……これは嘘だよ……。
私はおまわりさんを騙してるのに、
おまわりさんは心から心配してくれてる。
何も言わない私の代わりに、智子がおまわりさんに話し始めた。
「ありがとうございます。助かりました」
「君は、美樹ちゃんの友達?」
「はい。米倉といいます。
最近美樹の周りをうろついてる男達がいて、危なく連れ去れらるところでした」
智子……
もう嘘はいやだよ。
だけど、私は正直に打ち明けることが出来なかった。
これが全て嘘だったなんて怖くて言えない。
おまわりさんに嫌われたくない。

