恋 時 計 ~彼はおまわりさん~




目を開いた時には、浅野さんが目の前に倒れていた。




「浅野さん!!」


手を伸ばして上半身を動かすと、微かなうめき声をあげて顔をこちらに向けた。


「浅野さん!? 浅野さん!!」



浅野さんの肩から、真っ赤な血が流れている。


「くっ――‥美樹ちゃん……すまない」



じわじわと滲みだした浅野さんの額の汗。


私は名前を呼ぶことしか出来なかった。





「アハハ――。バカばっかり……」



不気味な笑い声と低い声が響く。


私は顔をあげ、その声に向かって口を開いた。



「バカ……?
命を守ろうとしてくれる人、正義を貫こうとした人……バカなんてどこにもいない!!
バカなのは、人の命をなんとも思わないあんたよ!!」



目の前にある拳銃

目の前にある黒い瞳


全てが怖い。



だけど、恐怖さえ呑み込んでしまう怒りが私の中に存在した。