「親父……」
おまわりさんに腕を掴まれたまま、浅野さんを見つめる息子さん。
おまわりさんよりも年上で、一重瞼の瞳が浅野さんに似ていた。
「浅野さん……それでも俺は、この手を放すわけにはいかない」
おまわりさんの低い声の後、浅野さんが静かに口を開いた。
「美樹ちゃんがどうなってもいいのか? おまえは、警察官という立場を守り切るのか?」
「浅野!! 卑怯よ!!」
名取さんの声が響く中、おまわりさんは眉間に皺を寄せ、唇を強く噛みしめた。
おまわりさん……。
心臓がドクドクと音をたて、体中に血が廻る。
その音は、遠く離れているおまわりさんにも聞こえてしまいそうなくらい大きいものとなった。
「おまわりさん……」
おまわりさんは両親を亡くした時、自分の立場を守ろうとして罪を隠した警察官を憎んでたんだよね?
罪は罪を生む。
悲しみの連鎖が起こるだけ――
「おまわりさん!! 絶対に放しちゃだめー!!」

