恋 時 計 ~彼はおまわりさん~





「ごめんね、おまわりさん。
おまわりさんは、私のために……それなのに私」


「美樹のためだけじゃないよ。自分のためでもある。
それに、美樹や美樹のお父さんたちに何かあったら、それこそ俺は自分を失いそうになる」


「おまわりさん……」


「覚えてる? 何があっても俺が美樹を守るって言ったこと。
あの約束に終わりはないから」



後ろから優しく抱き締めてくれたおまわりさんの手を、そっと握った。



おまわりさんの手、あったかいよ……。




「ごめん、こんなに泣かせて……」


「違うよ……。おまわりさんが泣かないからだよ。いつも強くて優しい笑顔のおまわりさんだから……私が代わりに泣いてるの」




いつも明るくて優しい笑顔のおまわりさん。



けど、本当はいつも向き合ってたんだね。



警察官になる時も


犯人を捕まえる時も


いつも自分の中にある痛みと向き合ってた。