恋 時 計 ~彼はおまわりさん~




私に気づいたおまわりさんは、一瞬目を見開いた。


その瞬間、今まで聴こえていた虫たちの声が、急に静まり返ったように思えた。




「おまわりさ‥」


「何?」



私の声を消すように、おまわりさんが口を開いた。



おまわりさんの冷たい眼差しが、胸に突き刺さる。



この痛みから、今すぐ逃げ出したい。


けれど、私はおまわりさんに歩み寄り、震えそうになる唇を必死に開いた。



「今日は、助けてくれてありがとう……」


「別にいいよ」





やっと会えたのに


やっと会えたのに……



どうしてこんなに冷たくするの……?





私を無視するかのように、何も言わず私の横を通り過ぎたおまわりさん。


後ろから聴こえてきた鍵の音に、呼吸が出来なくなるくらい胸が押し潰された。