『サヨナラ』 動き始めた電車の中で一哉の唇の動きを読み取った私は、必死に涙を堪えた。 泣き虫だった私に、 自分から一歩を踏み出す勇気 自分の気持ちと向き合う勇気 一哉はたくさんの勇気を教えてくれたから。 だから、最後は笑顔でいたい。 「さよなら」 遠ざかっていく一哉の想いを胸に刻み、私は前を向いた。 おまわりさんに会うために――。