「おまわりさん!」
家を出て最初の角を曲がろうとしていたおまわりさんに向かって叫んだ。
「ん? あれ、美樹ちゃんどうしたの?」
振り向きながら話すおまわりさんは、不思議そうに私を見た。
「これ、忘れものです」
「あ、ホントだ。ありがとう」
赤い顔でにっこりと笑うおまわりさんが一歩足を前に出した瞬間、
おまわりさんの体が大きくよろめいた。
「きゃっ」
倒れそうになるおまわりさんの体を手で支えようとしたけど、
気がつくとおまわりさんの上半身が私に寄りかかっていた。
「だっ、大丈夫ですか?」
「ごめん。だけど……大丈夫じゃない」
え……?
おまわりさんの重たい体が少し軽くなったかと思うと、
また重く寄りかかった。
もしかしておまわりさん、お酒に弱かったの……?
私は角を曲がったところにある図書館のベンチに、なんとかおまわりさんを連れて行った。

