「――‥クッ」 鈍い音と同時に、おまわりさんの悲痛な声が聞こえた。 目を見開いた私は、初めて気づいた。 おまわりさんの腹部の陰で、硬い拳が鋭い動きをしていたことに。 やめて! やめて――! 声を出そうとした私に、おまわりさんが小さく首を振った。 どうして? どうして黙ってるの? おまわりさんは警察官なのに。 もしかして…… 自分が警察官だという事を隠してるの?