しばらくして喫茶店を後にした先生と私。
外は薄暗く、小さな星が光となって顔を出し始めていた。
「家まで送るよ」
「近いからいいよ、それに先生の家は反対方向でしょ?」
「それでも送りたいんだよ」
照れ隠しのない先生の言葉に、顔が紅潮してしまう。
握ってくれた先生の手は、とても温かかった。
「今のクラスの担任は大変?」
「まぁね。どんなクラスでも、何かしら大変なことはあるからな。
それが学校ってもんだし」
「ふふっ。先生、なんだか私の担任だった頃より頼もしく見える」
「おいおい、あの頃の俺、そんなに頼りなかったか?」
先生は笑ってる私を見て、わざと眉をしかめた。
「ごめんね先生、そんなつもりで言ったんじゃないんだけど……」
先生の顔を見上げた私に、先生が顔を近づけてきた。
「その『先生』って呼ぶの、止めにしない?」
え……

