普段使ってないコーヒーカップがテーブルに並び、
そこからコーヒーのいい香りがみんなを包みこむように部屋中に漂った。
「いただきます」
コーヒーをストレートのまま飲むおまわりさんを見て、私もそのままコーヒーカップに口をつけた。
わっ、苦い……。
普段コーヒーを飲まない私にとって、ストレートコーヒーの苦さは強烈だった。
う~~、けど今さら砂糖入れるのは恥ずかしい……。
唇をへの字にしながらカップから離した私の目の前に、おまわりさんの手が伸びてきた。
「ごめんね。俺の前にあったから届かなかったでしょ?」
おまわりさんが片手に持つ砂糖の器を、私は両手で受け取りながら小さく頭を下げた。
おまわりさん、私が砂糖を欲しがってるって気づいてくれた……。
すごく嬉しい。
凄くすごく嬉しいよ……。
おまわりさんの長い指先が私の手に触れた瞬間、体中が熱を帯びた。
今まで味わったことのないどきどきが、私の体中を駆け巡ったんだ。

