恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「あら、美樹着替えてこないの?」

「うん。今日はこのまま食べる」


いつもは部屋着に着替えてから夕食をたべるけど、今日は制服のまま食卓についた。


だって、私服姿をおまわりさんに見られるのが恥ずかしいし、

見られても恥ずかしくないお洒落な服なんて持ってないから。



おまわりさんの前にある自分の席に座ると、テーブルを挟んでおまわりさんと視線が重なった。


にこって笑顔を見せてご飯を口に運ぶおまわりさん。



不思議……

食べる姿を見ると、急におまわりさんの存在が近くなったように感じる。


それに、私服姿のおまわりさんもかっこいい。


いつも紺色の制服を着てるけど、今日は黄緑色のチェック柄のシャツを着てる。


爽やかなイメージがより強くなったよ……。




私は緊張しながら夕食のおかずを口にした。


お母さんとおばあちゃんが嬉しそうにいろんなおかずをおまわりさんにすすめ、

お皿がいっぱいになったおまわりさんはちょっと困りながらも嬉しそうに「美味しいです」って全部を食べた。



私はそんなおまわりさんを見てクスッと笑った。

そしたらおまわりさんも私を見てクスって笑ったんだ。


なんだかそれだけで胸が一杯になって、お母さんがいつも以上にはりきって作ったご飯はほとんど食べられなかった。