恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



学校を後にした私は、もうすっかり暗くなった空の下を歩き始めた。


先生は家まで送ってくれるって言ったけど、仕事が溜まってるようだったし、これ以上迷惑をかけたくなかったら……。




「よし、このままおまわりさんの家に行こう!!」


両手を胸の前で握り締め、自分に気合を入れた。




大丈夫。

ちゃんと話せば、きっと元どおりに戻るはず。

一人で勝手に悩んでる私の心は、おまわりさんの言葉によって救われるんだから。



近くのバス停からバスに乗り、何度も心の中でそう呟いた。



窓から見える真っ暗な景色。

きっとおまわりさんと一緒なら、綺麗に見えるんだろうな……。




バスから降りると、急に冷え込んだ空気が上着の中に入り込んできた。


「うう、寒っ……」



震える体。

高鳴る鼓動。



白い息を大きく吐いて、おまわりさんの家に向かった。