恋 時 計 ~彼はおまわりさん~




「好きなんだろ? おまわりさんのこと」

「……うん。好き、大好きだよ……」


好き。

今こんなに苦しくても、寂しくても、おまわりさんを好きな気持ちは変わらない。

それどころか、今まで感じていた幸せがどんなに特別なものかを感じてる。



「その気持ち、もう一度おまわりさんに伝えて、ちゃんと聞いてみろよ。
きっと何か訳があるんじゃないのか?
仕事とか青木のお父さんの事件のこととか……」


「うん……」



そうだよね。

おまわりさんには、きっと何か理由があるんだ。

だからあんな嘘ついたんだ。




「先生、ありがとう」


問題は何も解決してないのに、何故か気持ちが楽になった。



「おっ、やっと良い顔になったな」

「へへっ、先生のおかげだよ。
先生に助けられたのは二度目だね。何かお礼したいな」

「お礼? また上手い稲荷食わしてくれよ」

「それだけでいいの?」

「じゃあもう一つ……」

「ん……?」



先生はそっと私の頬に触れ、真っ直ぐな瞳を私に向けた。