「青木が完走したらデートしてやる」
「はぁ!?」
何言ってんの?
デートだなんて嘘でしょ?
「うそ。完走出来なかったら3日間の補修授業」
腹が立つくらい爽やかな笑顔を見せた鈴木先生に、私は唇を尖らせた。
も~、冗談でも変なこと言わないでよ。
智子に特別扱いされてるって言われて、ちょっとは気にしてるんだから。
「絶対完走してやる~」
鈴木先生に後を追われるように、私はスピードを上げた。
「おっ、まだそんな力が残ってたのか?」
「先生、私のことは放っといて先に行ってよ」
「どうして?」
「どうしてって……別に……」
特別扱いしないでなんて言えない。
だって、私自身そんなふうに思ってなかったし、勘違いだったらかなり恥ずかしいから。
そんな変な思いを頭の中で廻らせているうちに、
鈴木先生が後ろに付いたまま、私は無事に完走した。

