午後の授業は体育。
私の大嫌いなマラソンだった。
まだ初夏なのに、強い日差しを浴びながら校庭の周りを5周走る。
もうへとへとになってる私の後ろから、鈴木先生が声をかけてきた。
「青木、もうすぐ一周遅れになるぞ~」
「え~~。もう無理……走れないよぉ」
弱音を吐く私の隣にきて走ってる鈴木先生は、Tシャツとジャージ姿で涼しげに笑った。
「無理だと思ってるから無理なんだよ」
「だって無理だもん」
「そんなこと言うなら、気合いが入ること言ってやろうか?」
え……?
気合いが入ることって何?
完走したらジュースおごってくれるとか?
もう言葉を発することが苦しくなった私は、横眼で鈴木先生に視線を向けた。

