恋 時 計 ~彼はおまわりさん~




「よかった……よかったな……」


おまわりさんは人目を気にせずに私を力強く抱き締め、何度もそう呟いた。



「うん……よかった」


白い息を吐く私たちの体は冷えきっているけど、心の中はとても温かかった。


どんなものでも溶かせてしまえるような、

優しい気持ちで満たされていた。




腕を緩めたおまわりさんの瞳が、少し潤んで見える。


涙ぐんだおまわりさんの顔を見るのは初めてで驚いたけど、

一瞬の間の後、どちらからともなく自然と笑みが零れた。



そして額を寄せ合い、小さく笑った。




「お父さんに会えるかな?」

「今診察を受けてるから、あと30分くらいで会えると思うよ」

「そっか」

「中で待つ?」

「……いや。
ごめん、俺、もう行かなきゃ」

「え……?」


予想外のおまわりさんの返事に、一瞬言葉を失った。



「仕事、休みなんでしょ?」

「え? ああ、うん。
今日はちょっと用事があるんだ」