恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



家に入ると、お母さんが食事の準備をしていた。


「ただいま」

「おかえり……」



あれ? お母さんの声、なんだかいつもと違う……。


「どうかしたの?」

「え? ……うん、さっきお父さんから今日も帰りが遅くなるって電話があったの」

「今日も……?」


最近、お父さんの帰りがとても遅い。

泊まり込みで仕事をする日も多々あって、疲れきっているお父さんの姿にお母さんは心配してるんだ。



「この前は事件がもうすぐ解決しそうだって言ってたでしょ?
けど、上手くいってないみたいなの」

「そうなんだ……」


お父さんは家で仕事の話をしないから詳しいことはわからない。

それはたぶん事件の内部の情報を外に漏らしてはいけないっていう理由もあるから。


けどそれって家で待つ家族にとっては酷なこと。


どんな状況なのか何も知らないまま、毎日帰りを待つんだから……。



「きっと大丈夫だよ。お父さんは凄い警察官だもん」

「そうね、そのうち事件を解決して喜んで帰ってくるわね」



お母さんの笑顔を見て、私は上着を脱ぎに行った。


そしてご飯支度の準備を手伝い、おばあちゃんと三人で他愛のない会話をしながら食事をした。