それなのに、転校して一ヶ月も経たないうちに、彼から別れの電話が智子にかかってきた。
『俺、好きな人ができた』
彼の一言が、智子の小さな胸に刻んだ思いを握り潰した。
そして、彼が残していったクラスの噂話。
彼は仲の良いクラスメイトの男子に、智子と初体験をしたことを話していた。
智子は純粋な想いで体を重ねたはずだったのに、いつの間にか彼にとっては自慢話のネタになっていた。
多感な中学時代、智子は人の心はすぐに変わってしまう……
そう思うようになってしまったんだ。
私は泡の付いた智子の手を握った。
「拓也くんを好きになって、やっと男の子を信じられるようになったんだよね?」
「うん……。けど、怖いの。
好きなのに、どうしても前にすすめない」
潤んでいた智子の目から涙が零れおちた。
本当に拓也くんを好きだから、苦しいんだよね……。
智子の痛みが私の胸へと伝わってきた。

